介助技術

2020.12.02

口腔ケアについておさらい!高齢者の健康を育み、病気の予防に。

口腔ケアという言葉を聞き、みなさんは何が思い浮かびますか?多くの方は最初に「歯みがき」をイメージされるかと思います。これはおおむね正解ではありますが、「高齢者の口腔ケア」という視点に立つと十分とは言えません。そこで、高齢者の口腔内では何が起こりどのように口腔ケアに取り組むのがよいかわかりやすく紹介をしていきます。

高齢者の口腔内で起こりやすいこと

口腔ケアの話をする前に知っておいてほしいのが高齢者の口腔内で起こりやすいことについてです。口腔ケアのやり方や役割、重要性につながってくるのでおさえておいてください。

  • 歯はすり減って短くなってしまい、もろく、虫歯になりやすい。
  • 歯ぐきはやせてしまい歯の間に隙間ができ食べものがつまりやすくなる。弾力がなくなり義歯をつけても安定感がなくなる。
  • 唇に弾力がなくなり口をあけにくくなる。荒れやすくなる。
  • 唾液の量が減る。
  • 味覚が変わる。

口腔ケアのもつ役割

口腔内は細菌が繁殖しやすい

健康な人であっても口腔内には500から700種類の細菌が存在しており少ない人でも1,000億以上の数が生息していると言われています。仮に高齢者が口腔ケアを怠ると先にお伝えした、虫歯になりやすい、歯の隙間に食べ物がつまりやすい、唾液の量が少ないことなどが影響し不衛生な状態になり細菌が増殖して病気を引き起こす細菌に変化してしまいます。
口腔内の細菌・口の機能が影響する病気には以下のようなものがあります。どれも心身に大きな影響をあたえる病気であることから口腔ケアをすることの重要性が感じられるかと思います。

  • 誤嚥性肺炎
  • 脳血管疾患
  • 感染性心内膜炎
  • 敗血症
  • 虚血性心疾患
  • 高血圧
  • 糖尿病、など

口の機能を維持する

口腔ケアには虫歯の予防や口臭をおさえる役割がありますが、それに加えて口がもつ機能を維持するという目的もあります。口腔内は本来、唾液を分泌して細菌を洗い流す機能があるのですが高齢者はそもそもの唾液の量が少ないことから機能が十分に働きにくくなっています。口腔内の清潔と機能を保つには口腔ケアによって細菌を取り除く必要があるのです。また、「歯がすり減り」「嚙み合わせが悪く」「唾液の量が少ない」と口腔内で食べ物を噛んで飲み込む能力が下がってしまいます。口から食べることができなくなると栄養が不足して身体機能の低下や認知症が進行するリスクが増えるので普段からしっかりと口腔ケアを行い口のもつ機能を維持することが大切になります。

口腔ケアのやり方

口腔ケアには2つの種類があります。ひとつは「口腔内をきれいにするケア」、もうひとつは「口の機能を維持・高めるためのケア」です。両方とも紹介をするので毎日の口腔ケアをする際の参考にしてみてください。
口腔ケアを始める前に気をつけてほしいのが「無理やりにはしない」という点です。口腔内はとてもデリケートなので、口腔ケアをする前にはこれからすることをていねいに説明し本人に理解と同意を得てから行うようにしてください。無理やり行っては口腔内を傷つけることにつながりかねず、最悪口腔ケアを嫌がるようになりできなくなるケースや噛みつこうとするなど攻撃的な行動を引き起こしかねないので十分に注意をしてください。

「口腔内をきれいにするケア」

【手順1】口腔ケアをするための準備

口腔ケアをスムーズに進められるように、使用する物品を事前に揃えておきましょう。
・やわらかい歯ブラシ
・タオル
・プラスチック手袋
・ガーゼ
・洗面器
・コップ
・歯間ブラシ
・デンタルフロス
・うがい受け、など

【手順2】口腔内の確認

口腔内に痛みがないかを確認しましょう。痛みは口内炎や欠けた歯、歯肉の脹れ、義歯による傷などが原因で起きていることが多くあります。もしこれらの症状があれば歯科医師や歯科衛生士に一度相談するようにしましょう。

【手順3】誤嚥を防ぐ

本人の意識がしっかりしていない状態や体調が悪いと口腔ケアでするうがいの際に誤嚥を起こしてしまいかねません。意識をはじめ全身の状態を確認しておくことが大切です。また、姿勢が悪いと同じく誤嚥を起こす可能性があるので注意が必要です。座っている状態、立っている状態であれば姿勢をしてあごを少し引いた状態となるようにしましょう。ベッドなどに寝ている状態であればギャッジアップなどを使い背中を起こし座っている状態と同じように少しあごをひいてもらえるようにしてください。背中を起こすことが難しければ麻痺のない側を下にして顔を横(もしくは側臥位になってもらう)になるようにしてください。

【手順4】歯をみがく

入れ歯があれば外してうがいの後に歯をみがきます。この際に少しでも自分で行える動作があれば自分でしてもらうようにしましょう。介護者は本人ですることが難しい部分や仕上げを手伝ってあげてください。介護者が手伝う際には本人へ今からどこを磨くのか、どんな動きをするのか伝えながらみがくようにして恐怖心を与えないようにしましょう。

歯ブラシや歯間ブラシを使いみがき残しのないように気をつけながら洗った後には、頬の内側、唇の内側、歯ぐき、上あご、舌などのデリケートな部分の汚れをスポンジブラシやガーゼなどの柔らかい素材のものを使い清潔にして仕上げにうがいをします。外した入れ歯をみがく際には落として破損させないように気をつけましょう。入れ歯は歯ぐきとの接着面や金具の部分が汚れやすいので念入りにみがいてください。

【口の機能を維持・高めるためのケア】

頬のストレッチ

口を動かしやすくする効果があります。やり方は歯ブラシの背の部分やスポンジブラシを使い口の中から頬の内側を外側に向かって優しく押し広げその状態から上下に3~4回ほど動かします。

唾液腺マッサージ

唾液の分泌を促すマッサージです。いくつかやり方があるので参考にしてみてください。

  • 耳の下を刺激する
    人差し指から小指の4本を耳の下にある上の奥歯あたりに添え、後ろから前へ向かってゆっくりとやさしく10回ほど回す。
  • 顎の下を刺激する
    親指を顎の骨の下にある柔らかい部分にあてて押す。耳の下から顎の下まで5か所くらいを順番に5回ほど押す。
  • 舌の下部を刺激する
    両手の親指をそろえて顎の下から指を突き上げるようにやさしく5回ほど押す。


介護職が知っておきたい高齢者の口腔ケアについてお伝えしてきましたが参考になったでしょうか。口腔ケアをしっかりと取り組むことは高齢者の心身の状態を健康に保つことに繋がり、丁寧に正しく介助できるように知識と技術を身につけてください。もし、わからないことや気になること、異常がある場合には歯科医師や歯科衛生士を頼って相談するようにしましょう。

文責:有田 和弘
特別養護老人ホーム、小規模多機能型居宅介護施設などで介護職として働き、ケアマネジャーの資格取得後は特別養護老人ホームで介護度の高いご利用者への支援を中心にケアマネジメントを行う。介護業界での勤務経験は通算で10年を超える。現在は介護関係の記事作成を中心にフリーライターとして活動中。
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